自転車用炭素鋼球

冷間圧造用炭素鋼(JIS G 3507-2 ・ 種類記号SWCH10R, SWCH10A, SWCH12A)を使用し独自の浸炭焼入により炭素鋼球としては最高の強度を有する製品に仕上げられます。

1.適用範囲

この規格は、JIS D 9111(自動車の分類と諸元)に規定する一般用自転車及び幼児自転車に用いる鋼球のうち、JIS B 1501(転がり軸受用鋼球)によらない鋼球(以下、鋼球という。)について規定する。

備考

この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は、従来単位によるものであって規格値である。

2.用語の意味

この規格で用いる主な用語の意味は次による。

(1)

呼  び

鋼球の寸法が一般的に同一であることを示すのに用いる呼び方。

(2)

呼び直径

鋼球の寸法が一般的に同一であることを示すのに用いる直径の値。

備考

呼び直径は、それぞれの呼びの鋼球の直径の基準寸法(基準直径)である。

(3)

直  径

1個の鋼球の実際の表面に接する平行二平面間の距離。

(4)

平均直径

1個の鋼球の直径の最大値と最小値との算術平均値。

(5)

直径の寸法差

1個の鋼球の平均直径と呼び直径との差。

(6)

真 球 度

鋼球の表面に外接する最小球面と鋼球表面の各点との半径方向の距離の最大の値。

(7)

ロ ッ ト

等しいと考えられる条件の下で製造され、同一品として取り扱う一定数量の鋼球。

(8)

ロットの平均直径

ロット内の最大鋼球の平均直径と最小鋼球の平均直径との算術平均値。

(9)

ロットの直径の相互差

ロット内の最大鋼球の平均直径と最小鋼球の平均直径との差。

(10)

ロットの平均直径の寸法差

ロットの平均直径と呼び直径との差。

3.寸法精度

鋼球の寸法精度は、直径の寸法差、ロットの直径の相互差及び真球度とし、付表1による。

4.圧砕荷重

鋼球の圧砕荷重は、付表1による。

5.硬さ

鋼球の硬さは、付表1による。

6.寸法

鋼球の寸法は、基本径により、その呼びは、付表1による。
ただし、必要に応じ付表以外のものも製作することができる。

7.外観

鋼球の外観は、鏡面仕上げであることが必要であって、割れがなく、きず、さびなどの有害な欠点がないものとする。

8.材料

鋼球の材料は、原則としてJIS G 3507-2(冷間圧造用炭素鋼-第2部:線)のSWCH8R、SWCH10R、SWCH10A、SWCH12R、SWCH12A及びSWCH15Aによる。
線の科学成分を付表2に示す。

9.測定方法及び試験方法

9.1

外  観

外観は、原則として目視によって検査を行い、必要に応じ適当な倍率の拡大鏡を用いて観測する。

9.2

寸法精度

9.2.1 直径の寸法差及びロットの直径の相互差

直径の寸法差及びロットの直径の相互差を求めるのに必要な平均直径は、鋼球1個を平面とこれに垂直な 測定子との間に置き、方向をかえて測定した直径の最大値と最小値との算術平均値として求める。この場合の測定力は、3N{300gf}以下とする。

9.2.2 真球度

真球度は、鋼球1個を角度90°のVみぞとこれに垂直な測定子との間に置き、方向をかえて測定したときの測定子の動きの最大を求める。
この場合、Vみぞの硬さは、HRC60以上でなければならない。また、測定力は、3N{300gf}以下とする。

9.3

圧砕荷重

圧砕荷重試験は、JIS B 7721〔引張・圧縮試験機‐力計測系の校正・検証方法〕に角度120°の円すい座を取り付けて同一呼びの鋼球2個を重ねて行う。この場合、円すい座の硬さは、HRC60以上でなければならない。また、負荷速度は、試験機の指針の移動速度が1秒間につき2~5kN{200~500kgf}でなければならない。

9.4

硬  さ

硬さ試験は、JIS B 7726(ロックウェル硬さ試験-試験機の検証)に角度120°の円すい座を取り付けてJIS Z 2245(ロックウェル硬さ試験-試験方法)によって球面を直接測定する。この場合、円すい座の硬さは、HRC60以上でなければならない。

10.検査

鋼球の検査は、寸法精度、外観、圧砕荷重及び硬さについて行い、3.~7.の規定を満足しなければならない。

11.包装及び表示

鋼球は、油脂その他でさび止めした後、適当な容器に収める。
鋼球の容器には、表面に次の事項を表示する。

  1. 名  称
  2. 呼  び
  3. ロットの平均直径の寸法差
  4. 数  量
  5. 製造業者名又はその略号
  6. 製造年月日

12.製品の呼び方

鋼球の呼び方は、名称及び鋼球の呼びによる。

自転車用炭素鋼球 5/16

引用規格

JIS B 1501転がり軸受用鋼球
JIS B 7726ロックウェル硬さ試験-試験機の検証
JIS D 9111自転車の分類と諸元
JIS G 3507-2冷間圧造用炭素鋼-第2部:線
JIS Z 2245ロックウェル硬さの試験-試験方法

付表1

呼び
Ball Size
呼び直径
Nominal Ball Diameter
(mm)
圧砕荷重
(最小)
Crushing load(Min.)KNT.
(kN{kgf})
直径の寸法差
Deviation of ball lot from nominal diameter
(μm)
ロットの直径の相互差
(最大)
Variation of ball lot diameter(Max.)
(μm)
真球度
(最大)
Deviation from spherical form(Max.)
(μm)
硬さ
(最小)
Hardness(Min.)
(HRC)
1/83.1755{500}±52256.0
5/323.9698{800}57.0
3/164.76211{1100}57.5
7/325.55614{1400}58.0
1/46.35018{1800}
9/327.14422{2200}59.0
5/167.93827{2700}59.5

付表2

種類記号
Symbols of kind
化 学 成 分 (%)
Chemical Analysis
CSiMnPSAl
SWCH 8 R0.10以下0.60以下0.040以下0.040以下
SWCH10R0.08~0.130.30~0.600.040以下0.040以下
SWCH10A0.08~0.130.10以下0.30~0.600.030以下0.035以下0.02以上
SWCH12A0.10~0.150.10以下0.30~0.600.030以下0.035以下0.02以上
SWCH15A0.13~0.180.10以下0.30~0.600.030以下0.035以下0.02以上

備考

  1. Cr含有量は0.20%を超えてはならない。また、不純物としてCu0.30%、Ni0.20%を超えてはならない。
  2. 主として弊社使用材料はSWCH 10R 10A 12Aです。

備考

詳細につきましては、下記のリンクより確認いただけます。